ASD “やりたいこと”が“やるべきこと”に変わる

発達障害

ASDは“やりたいこと”が“やるべきこと”に変わってしまう

“やりたいこと”に無意識的に課せられるものとは

誰でも“やりたいこと”の始まりは、楽しんで取り組むものだと思います。もちろんASDであっても同じです。ただASDの場合、やりたいことだと思って取り組んでいたのに気づけば

  • 面倒だと思ってしまっている
  • はじめの頃にあった楽しさが明らかに減ってきている

という状態になってしまうことがあります。その状態が長く続く事で結局は止めてしまったりもします。楽しいと思って始めた事なのにどうして楽しくなくなってしまうのか、というところにはASD的な要素が大きく関わっていると思っています。その特性として考えられるのは

  • どんな事にでも自分で決めた事をルール化してしまう
  • 安定したルーティンを好む
  • こだわりが強い

というものです。この特性が“やりたいこと”にどう影響するのかというと、無意識的に「あるもの」を課してしまうのです。そのあるもというのが

『ノルマ』です

“やりたい事”にノルマを課してしまうのです。はじめは楽しむことがメインだった“やりたい事”が、いつの間にか“やりたい事”をこなすことを当たり前とした意識に変わっていってしまうのです。

その結果

  • そのことをやらなくても誰に迷惑をかけるわけでもないのに、「やらないと…」という意識で取り組んでしまう
  • 楽しむというよりも、「今日も抜かりなく出来た」というような達成感がメインになってしまう
  • 既に無意識的にルール化し、そしてそのことがルーティンにもなっている為に、“やりたいこと”をこなすことに強くこだわり、楽しめそうにない状況でもやってしまう

このような状態になってしまうと、やりたいと思って始めたことを楽しむ、というところはいつの間にか無くなっていってしまいます。

どうして“やりたいこと”が“やるべきこと”に変わってしまうのか

ASDは真面目にコツコツと続けられる継続力のある人がほとんどです。というのも、先ほど特性で挙げた

  • ルール化や安定したルーティンを好む
  • こだわりが強い

という部分が良い方に働くからです。それに周囲からの提案ではなく、ASD自身がやりたいと思ったことというのは、大体において自分自身の得意分野だったりします。もちろんやってみたらそうでもなかった、ということもあるのはあるのですが、自分の感覚というのは結構鋭い人が多くて、そういった“周囲に影響されないところで選択したこと”というのは、やり始めたらなんだかスラスラと出来てしまう、そのことが楽しいと思えるし続けることも苦ではない、というものは多いと思います。

そしてコツコツと続けたことで結果的に評価されたり、自分に自信が持てるようにもなったりすることもあると思います

ただ、気をつけないといけないのは無意識的にノルマを課している場合です。疲れていてもやってしまう、無理をしてやったことでさらに疲れてしまう、それでもやらないといけないと自分で自分を追い込んでしまう、というような

ストイックな自分に変わってしまい“やりたいこと”は“やるべきこと”に変わり、いつの間にか義務になってしまうのです

ASDの場合そのことで、気力も体力も限界のところまでいく人も少なくないと思います。その結果、メンタルヘルスを損なう場合もあると思います。自分を苦しめるような義務になってしまえば、長くは続けられません。

“やりたいこと”を嫌になって止めてしまう前に、継続力という能力を上手く活かし、もう少し楽しみながらコツコツと続けていれば、何かしらの成果や身につくことがあったかもしれない、というところでは勿体ないような結果になってしまうこともあると思います。

“やりたいこと”を楽しみながら継続するために

“やりたいこと”がすでに“やるべきこと”に変わってしまっているものはないか、一度よく考えてみることが大切だと思っています。

その上で、やっぱりやっててもあまり面白いと感じられない、と思う事ならやめたらいいと思いますが、“やりたいこと”として本当に続けていきたいと思っているのであれば、その事を継続するために先ずやっておきたいことがあります。それというのが

ノルマを外し、ペースダウンを実行する

というものです。どれくらいのペースであれば自分が楽しめるのかを見直し、早速実行することだと思っています。

おそらく“やりたいこと”が“やるべきこと”に変わってしまっている時点で、そのことが割合的に少なすぎる、という方はあまりいないと思います。どちらかというと、自分に無理をしてまで過剰にやりすぎてしまっている、という方が多いのではないかと思っています。というところで、ペースダウンを意識してみるということなのです。

そして自分が楽しめるペースがどれくらいなのか、というところを見直した上で

やらなくても誰にも何も思われないし、意外となんとかなると言い聞かせる

もう少し自分勝手に楽しむことをする

という意識を持つと、徐々に“やるべきこと”に変わってしまっていたことが“やりたいこと”に戻ってくると思います。

ASDは真面目でコツコツ型の人です。こういった特性を活かせれば自分の為にも、そして周囲の為にも役立つような結果を生むものがあると思っています。ただ、度が行き過ぎてしまう時があるのです。

その事を自覚し、“やりたいこと”を楽しめるように、その事をずっと継続し続けられるように、出来れば定期的に自分の“やりたいこと”としてやっている事を見直し、自分を苦しめない方へ、楽しめる方へ調整していくことは大切だと思っています。

最後に

わたしも、そして同じくASDの息子もそうなんですが、やりたいことが見つかった時というのは、そのことで頭がいっぱいになり、それこそ起きている間中その事を考えてしまったりします。

  • テンションも軽く上がってしまう
  • 隙間時間はやりたいことで埋め尽くしてしまう

といった状態に一瞬で陥ります。このこと自体に無自覚だった頃というのは、やり始めた頃というのはすごく集中していて、楽しみながら続けられると思っていても、結果的には中途半端に投げ出してしまったことが沢山ありました。今になって、あの時もう少し続けていれば…そう思うことも正直なところあります。

ストイックになったり、集中して取り組むことが悪いこととは思いません。ただ

自分のペースを乱さない

というところは注意して持っておきたいところだと思っています。

楽しみながら自分が選んだ“やりたいこと”を続けていく、そしてその事をいくつも増やしていければ、ASDにとってはもっと自分の生き方を楽しめるのではないかと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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