発達障害にある”感覚過敏”は、当事者にとってはもちろん、その周りの家族にとっても大変です。それがどうしてかと言うと、見ている方が辛くなる程、異常に怯えたり、苦しんだりするからです。今回はそんな
”異常に怖がる感覚過敏について”です。
発達障害にある感覚過敏には、5種類あります。
- 聴覚過敏 大きな音、騒ぐ声、子どもの泣き声などに苦痛を感じたり、または怖がる
- 嗅覚過敏 食べ物や香水の匂いなどで、気分が悪くなる
- 触覚過敏 服の縫い目やタグが苦手、雨に濡れるのを嫌がる
- 視覚過敏 蛍光灯の光がまぶしすぎる、白地のプリント用紙に書かれた文字が読めない、車のライトが異常にまぶしく感じる
- 味覚過敏 特定の食感を嫌がる、味が混ざってるものが食べられない
わたしは触覚過敏はあまりないですが、その他はあります。 特にその中でも、子どもの頃から強く、そして異常に怖がったり、辛かったのが
大きな音、破裂音、大きな声、子どもたちの騒ぐ声、運動会のピストルの音、風の音、雷…
挙げだしたら切りがないほどですが、とにかく”大きな音”これには全て恐怖を感じてしました。
子どもの頃、わたしの親は音を異常に怖がるわたしに対して
「慣れれば怖くなくなるから。」
といっては毎年、2時間もあるような大きな花火大会に連れていかれたり、「耳から手、離してみ!。」と言われたり。その時はさすがに、親のことが嫌いでした。ただそれは仕方のないことなんです。そして確かに、”慣れれば”と言える部分もありますが、それ以上に
発達障害の感覚過敏の中にある、恐怖や辛さは、本当に心底怖く、自分でも、そして周りから見ても理解できないほど恐ろしいもの
これがおそらく想像できなかった、そして知らなかったんです。
ただ、親ももちろん親ですから。他のみんなが楽しそうに、そして何より楽しみにしている花火大会を、どうしてそんなにこの子は怖がるのか…そんなわたしの姿を見ては、(どうにか楽しめたらいいのに…)そういう気持ちもあったと思います。
なのでなんとか楽しめるように、親の方が努力していた気がします。でも、親として子どもの感覚過敏をどうにかしてあげたい、という時に、大体間違ってしまうのは
無理やり慣れさせる、親の意思で何回も経験させる
これでは、感覚過敏のある子には何も響きません。逆に辛くなるばかりです。
だからと言って、辛そうな我が子を見ていて、じゃあ何もできないのかと思うのは、もちろん親だって辛いのはわかります。。。ここからは
実際にわたしがどういう風に聴覚過敏を少しましに、そしてわたしにとって最大の難関だった”花火”これを耳を塞がずに見れるようになったのは、どうしてなのか?
についてを書いていきます。
先に書いたように、わたしの親は毎年毎年、大きな花火大会に怖がるわたしも連れていきました。もちろん、その2時間余り…わたしは花火の音が恐怖だったので、手がしびれるほど耳を塞いでいました。手にはじんわり汗をかき、体は冷や汗でるほどでした。
でも
花火きれいやな~…
いつもこう思っていました。。それに、わたしには姉が一人いるのですが、姉は音は怖くなかったので、花火を見ながら出店で買ったりんご飴やかき氷を食べながら見てる。わたしは耳から手を離せないので、母親に食べさせてもらってる。それにトイレにも行けない…トイレに行くと手を耳から離さないといけないですからね。そんなわたしがいつも感じていたのは
毎年この気持ちでいっぱいでした。でもこの気持ちが、わたしの聴覚過敏をどうにかしたい、という思いに向かわせてくれたのです。
そうなんです。少しでも感覚過敏を楽にさせてあげたいと思うなら、親ができることというのは、無理やり慣れさせることでもなくて、親の意思で何度も経験させることでもなくて、これだけなんです。
楽しさを教えてあげる
恐怖から解放された時のメリットを伝えてあげる
その子のタイミングを見て、たったこれだけでいいんです。
聴覚過敏だったわたしの場合だとしたら、やはりずっと耳を塞ぎ続けるというのは、腕もしびれてくるし不自由だし大変です。そこで、手を離すことが出来たら、そこが楽になるかもね、ということをゆっくりと伝えてみたり。花火のきれいさを映像で一緒に見て楽しんでみたり。それくらいでいいんです。
当時のわたしの親のやり方では、わたし自身、親を信頼できなくなってしまったり、理解されない寂しさがたくさんあったり、そういう余計なものが生まれてしまいます。でも、その経験からわたしが発見したのは
どうしようもないと思っていた”感覚過敏”も、自分の前向きな意思で挑戦し、それを自分の意志で繰り返し行うと、辛さも恐怖も和らぐ
ここでした。
わたしが初めて花火の音を聞いたのは、親ももうあきらめていた頃の、中学2年生でした。思春期もあり、音が怖いということが恥ずかしいのもありましたが、なによりも周りのみんなと同じように、花火を楽しみたいと、強く思ったのがその頃。
初めて手を離して音を聞いた時は、音の大きさに驚いて震えました。
でもここで、この音に慣れていかなかったら、一生花火を見れない…
そんな気がしたんです。それからは毎年、自ら手を離して花火を見ることをした結果、今ではかき氷を食べながら、花火を楽しめるくらいになりました。と言っても、もちろん”音が怖い”というところは無くなりません。でも、ましになったんです。 そんなわたしが思う
”異常に怖がる感覚過敏”を持つ子に、親ができることがあるとした何なのか?
というと
辛い気持ちに、そして頑張ろうとしている気持にただ、寄り添ってあげるだけでいい
その上で、楽しさを伝えてあげたり、怖がらない程度に、良い部分を見せてあげたり
それだけでいいんです。そうしているといつか、自分の意志でその子は動き出します。
最後に
はっきり言って、感覚過敏があっても、誰に迷惑をかけるというものでもないです。なので頑張ってましにさせようとしなくてもいいんです。
でもそこに、本人が”楽しみたい”と思ったり、”なんとか少しでも楽になりたい”そういう思いがあるなら、気持ちに寄り添い、応援し、楽しみを伝えてあげる、これだけでいいと思っています。
子どもの頃は特に、感覚過敏ははっきりと強く出ますし、見ている方も辛いと思いますが、決して今の状態がずっと続くわけではないというのも、覚えておいて頂いたら、親も子も、少しは気持ちを楽に、感覚過敏と向き合えるのではないかと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。
*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。
コメント