ASDにとって嫌だと感じる発言はすぐには理解できない
受け止められるキャパシティの限界値を超える
ASDのわたしにとって、大人になってからやっと気づいたことがありました。それというのは
相手からの受け止めたくない嫌な発言は、その場でスルーしてしまう
そして何も感じていないかのようにふるまってしまう
これでした。というのは自分が相手からの発言によって傷つくような、または嫌だと感じるような発言に対して
なんとなく言われた瞬間、心がモヤっとする…
嫌なことを言われた気がする…
ここまでは少し感じとれるものの、そう感じた直後には頭が真っ白になり、そのこと自体を無かったかのように、その瞬間に自ら消し去ってしまうのです。
ただ、消し去ると言っても、完全には消えてはいないのです。厳密に言うと無意識レベルで
- その言葉は受け止めたくない
- 受け止めるとキャパオーバー状態になってしまう
- 今は考えたくないし出来れば忘れたい
- だから今はいったん横にでも置いておこう
こういった状態になり、嫌だと感じる発言はいったん、頭の何処かに置かれてしまうのです。この時点で既に、嫌な発言に対して、まるで何も聞いていなかったような状態なので、理解しようとする意識すら生まれません。
ただ、消してしまうことも、忘れることも出来ないので、頭のどこかに置かれてしまった相手からの発言と、後になって必ず、真正面から向かい合うことになるのです。
傷つくことと不安にはとても敏感
ASDの特性としてあるのが
傷つきやすくて繊細
すぐに不安になる・不安が強い
とにかくASDは傷つくことと不安にはとても敏感なのです。このことから、ASD自身がダメージを受けるような、嫌だと少しでも感じられる発言だとわかると
- その言葉を受け止めたくない
- 聞きたくない
- 考えたくない
こういう強い気持ちが瞬間に生まれます。もちろんASDではない方、または定型発達の方にも、同じような感情が生まれることはあると思いますが、ASDの負の感情や発言に対しての反応の仕方は、度を越えていると言っても過言ではないと思います。
ダメージを受ける発言を感じてしまうとどうなってしまうのか
ASDは基本、嫌な出来事に対しては”受け流す”これがとても苦手です。
受け流せないということは
溜めこんでしまう
その時の辛い感情に何度も心が痛めつけられる
フラッシュバックまで起きる
最悪、鬱状態にまでなる
こういうとても辛い状態に陥ってしまうのです。そして、そうなってしまうというのを自覚している、または無自覚だとしても、考えたくない・聞きたくないという反応は出てしまうのです。
感じ取ろうとしても感じ取れない
自覚があってもその瞬間には出来ない
実はASDであるわたし自身もそうですが、相手からの嫌だと感じ取れる発言に対して、その瞬間に理解できない自分がいると自覚していても、どうしたってその時に感じ取ろうとしても感じ取れないのが現実なのです。ですので結局は
自分にとって嫌だと思う発言に気づくのはすごく後なのです
その結果ASDがどう処理してしまうかというと
相手にとっては、もう忘れてしまっているか「え…何を今更?。」という時間差が生まれているだろうと想像しては
”そんな前のことを根に持つ嫌な奴だ”
”その時に言ってくれればいいのにどうして今になって言ってくるんだ”
こういうネガティブな思考がふくらんでしまいます。その結果
- 我慢しよう
- 忘れてしまおう
- 忘れられなくても自分の中だけに留めておこう
こうして全てを自分の中に閉じ込めてしまうのです。
嫌だと感じる発言を自分の中に閉じ込めてしまうとどうなるのか
実はASDにとって、嫌だと感じる発言をその瞬間に感じ取れなくて、後で気づいたとしても、そのこと自体を自分の中に閉じ込めるような結果で終わらせてしまうと
ASDにとって、とてもダメージの大きな問題へと発展してしまうということがあります
ストレスを抱えたまま、関係性もこじれてしまうという結果に終わってしまうのです。
蓄積されていくストレスから抜け出す方法
後からでもいい
ASDにとって一番大切な事があるとすればそれは
いつも素直でいること
ここが大切だと思っています。実際わたしは自分自身にこういった特性があると気づいてから、もちろん少し勇気はいりましたが
後からでもいいから”素直に相手に伝える”ということをしました
- 思っていた・感じていたこと
- それを素直に、怖がらずに伝える
- 過去のあの時の発言が気になっていること
- その発言でとても悲しい・寂しい思いをしていること
- もう一度、話しあって解決したいと思っていること
実はこういった、ASDの中にある素直な思いを相手に伝えるだけで
相手が向き合ってくれた
もしかしたら自分が感じていた事とは違う意味だった
誤解だった
誤解ではなかったとしても、相手が想いを受け止めてくれた
または理解してくれた
こうして蓄積されていたストレスからも、少しづつ解消されていくのです。
ASDの寂しさや繊細さは奥が深いからこそ、不器用だと感じたとしてもそのままでいい
ASD当事者が、自分自身のことを不器用だ、またはそんな自分がめんどくさいと感じてしまうことは、多くの場面であると思います。
ただそう感じてしまうのはどうしてなのか
もしかしたら、そんな自分に向き合うことをしないまま、自分を責め続けるということをしてしまっているのかもしれません
繊細で不器用なのがASDだとわたしは思います。だったらそのままの自分で生きていく方向に進めばいいだけなんだと気づいて行動していくのが、ASD自身にとっても、関係している方にとっても、結果的にいい方向に行くのではないかと思っています。
最後に
ASDにとってどんなことでも”溜めこむ”というのは、自分自身を見失ってしまう程のストレスになるということを、知っておいて欲しいと思います。
今回の内容のように、そもそも嫌な発言に対しては、その時にわからないのがASDなのだからと自分に言ってあげるのです。そうすれば、後からでも相手と、そして自分と向き合うことに、少しの勇気が湧いてきます。
どんな感情も、どんな小さな心に引っかかていることも
後から想いを素直に話していいんです
後からでもいい、想いを伝えることの方が大切なのです
素直に想いを伝えて、真っ直ぐに受けとめてくれない相手というのは、自分とは一緒にいる人ではない場合もあるかもしれません。でももちろん、ちゃんと受け止めてくれる方もいます。
自分が素直に想いを伝えれば、想いを受けとめてくれる人なんかいないと思っていたのは、思い込みだったということに、ASD自身が気づく日というのが来ると思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。
*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。
コメント
こんにちは。初めまして。
とても興味深く読ませていただきました。実はいい年齢になって自分自身のことを理解しようとブログを書き始めました。そこで、いろいろと検索しているうちに、こちらのブログにたどり着きました。自分を理解するのに、スッと胸に落ちるようでした。とてもわかりやすいお話をありがとうございます!
これからも楽しみに拝見しています。
ブログのやり方がまだよくわからず手探りなのですが、リンク貼らせて頂きました。ご指摘あればお知らせください。https://nijino-kakaru-tokoro.cms.webnode.jp/l/自分で自分を扱いやすくするためにやりたいこと%E3%80%82/