ASD 好きなことに没頭している時に邪魔をされると

発達障害

一つの事に集中したいという気持ちが強すぎる

ASDには共通して

一つの事に集中したい、一人でとことん楽しみたいという気持ちが非常に強い

という特性があります。もちろん定型発達の人達にも見られるものだと思いますが、ASDのそれがどう違うのかというと「その気持ちが“非常に強い”」というところです。好きな事に取り掛かると周りの状況は見えなくなり、声をかけられても本当に聞こえなくなる程とにかく没頭します。そして没頭している時というのは大体において“自分一人だけで楽しむスタイル”という形で確立されます。

ASDが好きな事に集中している時、それは寝食を忘れてしまう「過集中」と呼ばれるほどのものまでいかない、日常のほんの少しの時間であっても、とにかく一人で集中して楽しみたい気持ちが非常に強いというところは、同じようにあるものなのです。

好きなことに没頭している時に邪魔をされると…

当事者であるわたしもそうですが、ASDが好きなことに集中し始める時というのは、「よし、やるぞっ!。」と構える時もあれば、無意識的に自分一人だけの世界に入ってしまって、いつの間にかそのことに没頭している、という場合もあります。入り口がどちらの状態にしても、好きなことに没頭している時に邪魔をされたり、さえぎられることをとにかく嫌がります。「嫌がる」という表現だと、ただ気が短いだけじゃないかと捉えられるかも知れませんが、そうではありません。それはASDに起こる困りごとの中にあるそのほとんどが、一般的な常識を超えて大変な状況になる程の「度を超えるもの」だからです。

邪魔をされた時、またはその時間をさえぎられた時、嫌だな…と思っても少し経てば気持ちが落ち着く、という程度のものではなく、ちょっとの我慢でやり切れるものでもない。その瞬間に大きなストレスを抱え、自分でも咄嗟に感情のコントロールが出来ないほどのものだったり、もしくはコントロールしている様であってもかなりの我慢がそこにはあって、結果的に大きなストレスとなって自分に降りかかってきたりすることもあるのです。例えばその中には、邪魔とも呼べないような

何気なく話しかけられた

というものまで含まれます。「楽しそうだね、ちょっと見せてよ。」「一緒にやろうよ。」という様な、とてもラフな感じで話しかけられたとしてもそうなのです。ただ、だからと言ってその瞬間はASDだけが大変な思いをするというものでもないと、わたしは自身の経験から思うところがありあます。

というのも、一つの事に集中したい・没頭していたいという気持ちが強すぎるために、何気ない一言であっても、さえぎられたという事実に耐えきれず急にイライラした態度をとったり、逆にとても冷たい態度になったりと、自分自身が精神的に不安定になる苦しみに加え、その不愉快な態度が原因で相手にも良くない影響を与えてしまうこともあるからです。

ASDの特性を活かして問題を回避していく

わたしはASDだと自覚するまで、好きなことに没頭している時間を邪魔されるとイライラしては、自分の気の短さが嫌になっていました。そうなのです、わたしは自分をただ「気が短い人」と思うだけでした。ですので何度も同じ苦い経験を繰り返していました。

それがASDの特性を知り、自分に当てはめることをしてみてからやっと、全てではないにしてもストレスの原因がASDの特性からきている事に納得し、何かできる事はないかと考えました。一人で好きなことに集中したい、その時間を邪魔されるととても嫌だと感じる、これがASDなんだと受け入れる事はとても大切だけれど、だからといって開き直っていては何も変わらないのではないかと思ったからです。

そこで、わたしは先ず

  • わたしに出来ること、そして出来ないことは何なのか
  • 一人で好きなことに没頭する時に何に気をつけたらいいのか

この2つのポイントに目を向けました。

わたしに出来ること、そして出来ないことは何なのか

ASDのわたしにとって、好きな事に集中している時に邪魔をされる、さえぎられる何かが起こる

この瞬間に起こる「感情のコントロール」

ここはかなり難しい、わたしには出来ない、という事がわかりました。強いこだわりも影響してくる為に、どうしてもその瞬間に軽く受け流せたり、少しイラッとしてもそれほどでもない、というレベルにはどう頑張っても持っていけません。だとすれば、わたしに出来る事は何なのかを考えた時に出た答えが

そうならない環境を作る

というものでした。自分自身のコントロールが難しければ、最悪な状況にならないように環境からアプローチしていく、というものです。そのことが結果的に、自分の身を守る、無駄なストレスも発生しない、というものに繋がっていくのです。

一人で好きなことに没頭する時に何に気を付けたらいいのか

一人で好きなことに没頭していたいと思っていても、その時の自分に意識を向けなければ環境を選ばず、そして時間の見通しも立てずに“何となく”取り掛かってしまいます。例えばこれまでのわたしの場合だと、子供たちがわいわいと遊んでいる同じリビングの一角で、または、後に予定が詰まっていて全く余裕のある時間帯ではないのに始めてしまう、というものがありました。環境を選ぶということも、そして時間の見通しも、何も見えていなかったのです。こういった状況では大体においてわたし自身に、そして周りにもストレスを与える何かが起こります。そこでわたしはこの状況を回避するために

「一人で好きな事に没頭する時のルール」というものを作ることにしました

そのルールとは

確実に集中できる時間帯を選りすぐる、その時間以外はあえて取り組まない

→例えば、確実に一人でいられる時間帯、予定が詰まっていない曜日などをあえて選りすぐり、ある程度計画を立てて、それ以外の時間帯には無意識的に好きなことに集中し始めないようにする、というものです。ルール化してしまって、そのことを更にルーティン化出来たら、意識がそっちに向いて逆にASDの真面目さから、このルールを守る、という方に行動が変わってくるからです。ASDは臨機応変が難しくて「あぁ今の状況では無理だな。」というような判断がさっと出来ません。だからこそ、困った時には何でも決めてしまったらいい、というものです。

集中したい時間を少なめに設定し、終わればタイマーで知らせるようにしておく

→わたしは好きなことに集中し始めると、気がつけば4〜5時間は軽く過ぎてしまいます。ただわたしの場合、息子たちの送迎や家事もあって、無意識的に4〜5時間以上過ぎてしまうのは後々大変になってきます。好きな事に集中できたとしても、その後にとても忙しくなっては疲れ切ってしまう。それでは満足した時間ではなく、無理をしてしまった時間です。そこで、少なめの時間設定と、その時間がくればタイマーで知らせることにしたのです。まずは1時間、1時間経ってもう少し出来そうならその時にはまた少な目の時間でタイマーをセット、というものです。ASDに必須である「見通し」これがあれば、満足するまでの時間帯を縮められるということもわかりました。

この2つのルールに加え、もう一つ意識して加えたものが

それでも急に邪魔が入る「緊急事態」もあるということを頭の片隅に置いておく

というものでした。ASDはルール化してしまうと、その通りに真面目に取り組み一定の成果を得られる、というところはありますが、どんな状況においても臨機応変がとても苦手というところもあります。その部分も視野に入れ、緊急事態があったとしてもパニックにならないように意識に加えたのです。どんなことが起ころうとも想定内にしておく、というところがポイントです。このようにASDだからこそ難しかった問題を

ルール化してしまう

見通しを立てる

というように逆に「ASDの特性を活かして問題を回避していく」ということをしたのです。もちろん全てのASDにとって万能な方法だとは言い切れないかもしれませんが、わたしはこの方法で無駄なストレスを抱えることも、関わる人に嫌な思いをさせることも減ったと実感しています。

好きな事に一人で集中したい、ASDにはその集中力で何かを生み出すこともあります。ただ、邪魔が入るとイライラする、嫌な態度に出てしまうというような同時に起こる困りごとにも目を向けることは必要だと思っています。目を向ければ、そしてASDの特性を知っていれば問題が問題でなくなることも少なからず出てくるからです。このことからも、できれば周囲にも理解を得た上で、自分にも何かできることはないか、少しでも困り事を回避できる策はないかと考え実行してみることは、自分を知る上でも大切なことだと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/を使用しています。

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