ASDは”一度決めたルール”をなかなか変えることが出来ないのはどうしてなのか
ASDにある特性が良くも悪くも働いてしまう
わたし自身、一度決めたルールはなかなか変えることが難しい、というところでは、子供の頃から大変な思いをしてきた記憶があります。
変えることが出来ないルールというのは、とっても日常的な、小さな決まり事に対しての事です
例えば、わたしのASDの息子の場合のルールだと、学校が終わって3時には、デイのお迎えがきて、そのままデイに行く、そういったものです。
もちろん、子供の頃よりかはましになったと言えるかもしれませんが、大人になった今でもあります。
ルールを決めて、そのルールに従う、まではいいのですが、そのことがどうして大変なことになってしまう時があるのかと言うと、”なかなか変えられない”ということの中には
”どんな状況になったとしても、変えることが難しい”
というものが含まれているからなのです。このことをASDの特性から見てみます。
ASDが、一度決めたルールはなかなか変えられない、という裏にある、良い方向に働いている特性としてあるのは
- 何があってもコツコツと真面目に取り組む
- 一度決めたことは最後まで、または自分が納得するまでやり抜く
というものが挙げられると思います。ただ、良くない方向に働く特性も、表裏一体の状態として存在していると思っています。その特性としては
- 一度決めたルーティンが崩れることに強い不安を感じる
- 臨機応変が苦手
- こだわりが強い
というものが挙げられると思います。この両方が同時に働いてしまうと、どういう状態になってしまうのかを、もう少し詳しくお伝えしていきたいと思います。
”その時の状況”に合わせるということが難しい
ASDにとって一度決めたルールに関しては、とにかく真面目に、決めた通り、言われた通りのことをきっちりと取り組み続けます。このことは、仕事でも他のことでも、その場の状況にピタッと上手い具合に働けば、ある一定の成果を上げられる程のものだと思っています。ただ、問題になるのは
そのルールが状況の変化や、何かしらのアクシデントで守れない事態が生じてしまった時なのです
その場の状況に合わせ、柔軟な対応が難しいASDにとって
- ちょっと今日はやめておいた方がいい
- 次回にずらそう
このように突然「こういう時もあるよ。」などどいうことが起こったとしても、本人としてはなかなか納得出来ないのです。それどころか
なんとか無理にでも実行させようとしたり、聞いていた事と違うと怒り出したり、実行出来ないことにASD自身が強いストレスを感じてしまうこともあります
こうなってしまうと、ASD自身はもちろん、周囲の人たちも巻き込み、大変な事態へと発展してしまうことも考えられます。ただ、最悪のパターンにならないための対策はあるのです。
”一度決めたルール”に振り回されない為の対策とは
ここでは、わたしが今でも実践している、”一度決めたルール”に振り回されないための対策を、お伝えしていきたいと思います。
ASDはルールそのものを変えることは難しい為、その”変えることが難しい”という特性を逆に活かしたものです
とにかく大事なポイントとして押さえておきたいところとしては
やってはいけないのは”一つだけのルール”で実行しようとすること
というものです。ASDはとにかく”見通しが立っていないこと”、”突然の予定変更”には不安が大きくなりやすいものです。ということは、ここに注目すればいいということなのです。この特性を利用した対策というのは
ここで実際に、わたしのASDの息子の実例をあげて、わかりやすくお伝えしたいと思います。
息子は小学校が終わると、放課後等デイサービスにいくのが日課になっています。デイから学校までは送迎をしてくれて、そしてその時間は”3時”と決められていました。息子はお迎えが来る3時までには、いつも帰り支度を済ませた状態で待っていました。
ただ、ここで問題だったのは”3時にはお迎えが来る”この”一つだけのルール”しかなかったことなのです
デイの人は大体、3時前には迎えにきてくれていたのですが、ある日、学校までの道が渋滞し、その日は3時を少しだけ過ぎた、3時10分に到着しました。その時、息子はどうしていたかというと
3時を少し過ぎたあたりから、学校の先生に連絡がないか何度も問いかけ、学校の周りをソワソワした状態で歩き回り、デイの車が到着した時には泣じゃくり、「遅いっ!」と言ってパニックを起こしていました。
この時、わたしは正直(しまった…)そう反省しました。それからわたしがとった対策、というのは
- 交通状況によっては3時を10〜15分程度、遅れることもある
(*この時に”程度”について、どれくらいなのかの納得も持ってもらうとより良いです)
- 何かあった時には、デイから学校に必ず連絡があるから、待つということをする
このように何パターンかを、想像しやすい話し方で、そして出来れば明確に”その他のルール”として組み込んでいくのです。このことはASDの子供たちだけではなく、もちろん大人にも使える対策です。こうすることでその後の息子は、デイの方の送迎が多少遅れたりしても、パニックになることはありませんでした。
実際、わたし自身も実践していることがあります。わたしの場合だと、例えば”YouTubeを始める”、このたった一つのルールだけの時というのは、とにかく、どんな忙しい状況であろうと、子供たちとの時間が取れていなくても、それこそ体を壊してまでもやり続けてしまいます。
ですので息子と同様、”YouTubeを始める”という一つのルールと同時に、いくつかのルールも作ることをするのです。例えば
- 育児もあるため、子供たちが長期の休みの時は1週間は休み、子供たちと過ごす
- 体調が悪い時はコミュニティ配信で休むことを伝えて、しっかりと体調を戻す
このように、”その他のルール”を同時に持っておくことで、臨機応変が必要だと見られる状況でも対応していけるようになるのです。逆に作っておかないと、その時になっても突然、対応することは難しいのです。
ASDにとって”一度決めたルール”が変えられないのは、決めたルールそのもの自体、ASD以外の人が考えているよりもっと、細かい部分に至るまでのものであり、そしてそこにはASDの特性が大きく関わってくるからこそ、なかなか変えられないのです。
それでも、一般的なところとは違うASD独自のスタイルを確立することで、そしてその特性を上手く利用していくことで、逆にあらゆる場面で一つ一つ確実に対応していくことは出来るのではないかと思っています。
最後に
わたしはわたし自身がASDだということもあって、ASDにとっての日常的な困りごとや、生き辛さを少しでも解消していくためには、ASDに適した手段や方法があると思っています。そして、その方法をブログやYouTubeの中で、日常に取り入れていくという内容をお伝えしたりしています。
ただ、いつもふと思うのは、そのことを今更、意識して取り組んでいかないと難しいという現実に、わたし自身がうんざりすることもあるのです
それでも、やらないよりかはやった方がいいというのも分かってる、分かってはいるけれど、そのことが子供の頃から大人になるまでの間に、自然と身につけられているものであったら、どんなに楽だっただろう、そう思う時はあります。
だからこそ、わたしに出来ることがあるとすれば、大人のASDの方にある生き辛さの解消の手助けになれば、ということももちろんありますが
今のASDの子供たちが、子供の頃から自分の特性と向き合いながら自然と、自分にあった手段を駆使しながら生きていける方法、これを身につけていってほしい、という思いです
今のASDの子供たちが大人になる頃、世の中がどうなっているかはわかりませんが、それでも、何十年後かの先を見ながら取り組めることはあると思っているからこそ、過去の経験を活かしながら、今出来ることを少しでもお伝えしていきたいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。
*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。
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