ASDにとっての”お一人さま時間”の重要性とは
”お一人さま時間”が取れていないとどうなってしまうのか
発達障害の息子2人と、同じく発達障害のわたしが過ごしたコロナ禍での夏休みは、長男の放課後等デイサービスは自宅でのオンラインに切り替わり、次男は家庭保育。結果的に、ほぼほぼ3人がべったりと一日中過ごすという毎日を過ごしました。そうなるとどうしても必然的に
わたしだけの”お一人さまの時間”というものは全く取れない毎日でした
それでも、この期間だけは仕方がない、わたしの”お一人さまの時間”を取れなくても割り切るしかない、そう思いながらの毎日を過ごしていました。というよりも、あえて経験してみました。その心情には
“子どもたちと一緒”にいても、それ程までにストレスを抱えることのない日々だったとしたら、どうにかやる過ごせるのではないか
“子どもたちと同じ空間”にいても、自分の好きなことをする時間をほんの30分でも作れれば大丈夫なんじゃないか
そういうある意味、実験的に”お一人さまの時間”の限界値を試していたのです。そんな日が2週間ほどだと思いますが続いた頃に、わたしに”ある症状”が出始めたのです。その症状というのが
どんどん意識が自分に向きすぎてしまい、家族であっても誰の事も、とにかくどうでもよくなってしまい、それよりも何よりも
- 一人でゆっくりしたい
- 一人の空間と時間が欲しい
- 静かな場所に行きたい
ただただそのことしか考えられなくなってしまった、軽い鬱状態に無意識的に入っていってしまっていたのです。口数は減り、何事にもネガティヴ思考が先行する、ケミカルな薬に頼りたくなる、仲良くしていた人のSNSすら見れなくなる、こういった
完全に自己コントロールを見失う自分になってしまっていました
ちなみに、自己コントロールを見失っていると気づく大切なポイントとしては
”自分の好きだったことも出来なくなる、やりたくなくなってしまう”
というところです。好きだったことさえ手をつけられなくなってきたら、危険信号です。
”お一人さま時間”の環境設定
”お一人さま時間”を取る上で、その環境がとても重要だということにも気づきました。ASDにとって一人の時間を過ごすということは、ただ単に環境を選ばず、ただ一人になれたらいい、というものではないのです。
できれば、”お一人さまの時間をとる上で組み合わせたい環境”、それというのが
自分のことを誰も知らない、とにかく自分を干渉する人がいない空間
ある程度必要な、人との”隔離感”
この環境設定が重要なのです。
- 例えば一人だけの車の中
- 例えばカフェでもいい→だとしたら、人との距離が近すぎる横並びの席よりも、個室感のあるソファー席(ノイズキャンセリングのヘッドフォンがあれば尚良いです)
- 例えば一人暮らしであれば、その時間だけでもスマホの音は消しておく
この様に最大のポイントとしては、個室感を保てる一人だけの空間が必要だということだったのです。
わたしは子どもたちと一緒の家の中で、子どもたちの声は聞こえる場所にいても一人の作業が出来る場所だったら、何とかやり過ごせるのではないかと考え、実践しました。結果的には全くもって”お一人さまの時間”を持てたとは思えませんでした。
このことからも、ASDにとってどれほど一人の時間と空間が大切で、それがなければどれほど自分にとってダメージが大きいのか、ということを本当に思い知らされました。
過集中のコントロールが不能になる危険性
”お一人さまの時間”を取れない毎日を送っていると、自己コントロールを見失ってしまうとお伝えしましたが、その中に含まれる、もう一つ危険がものがあります。それというのが
過集中のコントロールも不能になってしまう
というものです。ASDにとって過集中の時間というものは、意外と重要です。
過集中=自分の好きなことに没頭する
というものだからです。ASDにとって過集中の時間を取るということは、日々のストレスの解消の一つになったり、自分の為に時間をたっぷりと使えるという、心の安定に繋がるものでもあります。
そのことを、わたしはASDだと自覚し始めた頃から理解していたので、子供たちが学校や保育園に行っている時は、数時間でいいからとにかく取れる時に取る、ということをしていました。
それでは過集中と言えないのではないかと、思われる方もいるかもしれませんが、まだまだ手のかかる子供たちがいる環境の中で、時間を気にせず過集中をしたくてもできないという理由から、とにかく無いよりあったほうがいいという選択の中で、小刻みにでもいから組み込む、ということをしていたのです。
ただ、経験のある方も多いと思いますが、ASDが過集中モードに入ってしまうと時間や睡眠、食事といったものは意識できなくなってしまうことが多くあります。その状態になってしまうのはどうしてなのか、ということをわたし自身、何度も経験してきたので、過集中をしたい気持ちを溜め込みすぎずに取り組んでいたのです。
少しづつでも取っておかないと大変なことになると、経験上わかっていたからです
実はその数時間さえ取れない毎日、”お一人さまの時間”が取れない毎日が続いた後、わたしの過集中のコントロールはやはり壊れていました。
その壊れた状態というのは、もうすでに1ヶ月以上も過集中の時間をとっていなかったある日に起きました。その日は、パートナーが晩ご飯の後片付けを手伝ってくれていたので、その隙にわたしはパソコンを開き、書き物を始めました。その瞬間から
子供たちやパートナーが呼びかける声、これが一才聞こえない状態で、ひたすらキーボードを打ち続けていたのです
何度呼びかけられても無視、というよりも聞こえていない、気づいた頃には子供たちは寝ていました。正直、ここまでになってしまうのかと自分でも驚きました。
過集中がいきすぎてしまい、完全に時間も何もかも、子供たちの呼びかけさえ聞こえない。結果的には後で自己嫌悪に陥り、決してスッキリとしたものではありませんでした。
ASDにとって”お一人さまの時間”というものは
ASDにとって、”お一人さまの時間”は自覚しなくても、無意識レベルでどうしても欲しくなるものです。ただ、その時間がとても重要だと意識しておくことも大切だと思っています。その上で気をつけたいのが
わたしの場合は、パートナーに協力してもらいました。それこそ1ヶ月半ぶりくらいに、子供たちを連れ出してもらい、5時間ほど全く一人だけの静かな空間と時間を貰いました。
たった5時間でも想像以上に頭も体もスッキリしました
それはわたし自身の、壊れかけていた精神状態の安定にも繋がりました
このことからも、ASDにとっての”お一人さまの時間”というものは、自分の為であり、そして家族や関わっている人たちの為でもあるということを、今回の経験から改めて自覚しました。そして結果的に、辛く長い1ヶ月半でしたが、経験してみてよかったと思える期間でした。
最後に
ASDが一人の時間を取れなさすぎてしまうと、どうしても精神的に不安定な状態になります。そのことで
- 家族や関係してる人に対して冷たい態度をとってしまったり
- ネガティブな発言が増えてしまったり
このようなことが起こったりもします。その原因が、ASDのことを知っていて、一人の時間が取れていないからなんだろうな…このように相手側に理解があればいいのですが、そうでなければ、ただ意味不明に不機嫌な人で終わってしまいがちです。
しかもそのことを、ASD側もうまく伝えられたらいいのですが、そこも難しかったりします
たとえASD側が、一人の時間が欲しいと伝えられたとしても、今回お伝えしたように重要性を理解されていない、またはASD側も自覚がないと、そんなに一人の時間が重要だとは思われずに、流されてしまうこともあると思います。こうなってしまうと、お互いにとって最悪な状況に向かってしまうことは、覚えておいて欲しいと思います。
ただ、理解の上で協力し合うことが出来たら、ASDが一人の時間を誰かに協力してもらい、取ることが出来たら、協力してもらった相手に感謝の気持ちを持つこと、そして自分にも何か協力できることはないかと考えることも大切だと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。
*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。
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