ASD 急な頼み事には急に対応できない

発達障害

ASDは急な頼み事には急に対応できない

関係している相手がASD当事者とわかっていても、またはASD傾向のある方だとわかっていても、ASDにある障害の部分というのは

日常的に、ほんの些細な出来事やあらゆる場面に現れるため

はっきり言ってASDについてかなり詳しくないと、ASDの方に対していろんな場面での対応に困ったり、不信感を抱いてしまったりします。逆に、ASDにとっては、真面目に仕事をしているつもりでも、その行動や発言が何も理解されないまま

  • 仕事が出来ない人
  • 対応に困る人

ということになってしまうこともあります。今回はそのようなASDの行動の一つ

急な頼み事にはどうして急に対応できないのか

についてです。

「はい、いいですよ。」と返事したのに…?

大人のASDでも、ASDの子どもたちでも、特に誤解されやすいのが

頼み事に対して了解してくれたのに、いつまでたってもやってくれない

こういったことを、ASDに対して経験したことはありませんか。もう少し詳しくその場の状況を説明すると

そのお願い事というのはとても重要な、とても時間がかかるような事ではなくて

ちょっとこれ、お願いしていい?
というような日常の中でよくある、たった数分で終わるような頼み事の時です。

例えば、重いものを上の棚に上げてもらいたくて、その時、通りがかったASDの方に

「あ、これちょっと重いから、上にあげてもらっていい?。」

そう頼むとASDは

「はい、いいですよ。」

と返事はするものの、どこかに行ってしまいます。了解してくれたにも関わらず、まるでそのことについてスルーされてしまったかのような感じを受けるわけです。

そしてその後も、お願いしたことを一向にやろうとする気配はない…その結果

「いつになったらやってくれるんだ。やると言ったのに…。」

頼んだ相手は不愉快になる上に不信感まで抱く。それに、こういう事が何回も続けば、仕事をさぼっている、口だけだ、なんてことまで思われてしまいます。

了解したASDはどう思っているのか

ではここからは、どうして了解したにもかかわらず、頼みごとをやってくれないASDについてです。実はASDは、頼みごとをされて了解したことを

しっかりと覚えているし、やろうと思っているのです。

ではどうしてやってくれないと思われてしまうのか

ここが疑問となってくるポイントだと思います。この疑問を解説していきます。

実はASDは常に

いろんな場面での段取りや自分だけの手順、これがしっかりと決まっています

ということはASDにとっては、急にお願いされたことでも、ある程度自分のやろうと思っていたことが終了してから、その後にやろうと思っているのです

例えば

A⇒B⇒C

という仕事がASDの頭の中に組み込まれていたとします。その仕事がBの途中だったとしましょう。そのBの最中に「あ、これちょっと重いから、上にあげてもらっていい?。」というような、Xという頼み事が急に入ってきたとしても、ASDの頭の中ではこう組み込まれます。

A⇒B⇒C⇒X

ということは、頼まれたことを無視したわけではなく、今はBの途中だから、Cが終わってからやろうと思っていたのです。ただ、やはりこの時にASDの特性を理解していなかったら

相手とASDの間に生まれるおかしなタイムラグ

これが生じてしまうために、不穏な空気が流れてしまうということになってしまうのです。

急なお願い事をその場で処理してもらう方法

ASDであってももちろん、急な頼みごとをその場で処理することはできます。今回は、数分で終わるような簡単な頼みごとに絞りますが、その場面で知っておいて欲しいASDの特性というものがあります。先ほどの

細かな段取りや自分だけの手順が、どんな場面にでも綿密に組み込まれている

というものの他に、もう一つあるのが

詳細がなければわからない

ASDはその場の雰囲気、言葉のニュアンス、ここを読みとって行動するのがとても苦手です

先ほどの例で言うと

「あ、これちょっと重いから、上にあげてもらっていい?。」

⇒頼んだ側は通りがかったついでに声をかけたのだから、今やってくれるものだと、もちろんその場の雰囲気で伝わるものだと思っていますし、ASDの方でなかったら、伝わったでしょう。ただ、この言い方では、頼んだその時にASDはやりません。

「あ、これちょっと重いから、、上にあげてもらっていい?。」

⇒言葉の中に”今”と一言伝えるだけで、ASDはその時にやるでしょう。

逆にASDは詳細さえあれば、その場の事は一瞬で理解できるのです。

または

「これ、いつならやってくれる?。」

こう詳細を確認しておくと、すんなりと「○○にやります。」と伝えてくれるでしょう。

最後に

今でこそ、発達障害やASD、ADHDなどと言う言葉も、当事者の芸能人や有名人なども知られるようになってきましたが、現状はどうでしょうか。本当のところは

隠れASD

こういった、診断はついていないが、もしかしたらそうかもしれないASDの方や、またはグレーゾーンの方が多いのが現状だと思います。そしてその中でも日常の様々な事に悩まされたり、仕事がうまくいかなかったりする方というのは

自分自身がASD、またはそうかもしれないという自覚がない

こういう方が多いのではないかと思います。自覚がないからこそ、自分の問題点に気づかないでいたり、逆に問題点に気づいていないからこそ自分自身があらゆる場面で苦しんでいたり。

または関係している方にとっても、ASDの特性を伝えられていないが為に、対応や理解に苦しんでいたり。

あるいは気づいていたとしても、無知からくる障害という悪いイメージが先行しすぎて、ASDだなんて認めたくない、という方もいます。今回の内容でもそうですが、一番の解決策があるとすればそれはとても簡単で

ASDであることをお互いに知っておくこと

実はたったこれだけだとも言えます。だからこそ、ASD傾向のある方は、たとえ診断がつかなかったとしても、自分自身としっかり向き合い、自分の特性を受け入れることが大切だとわたしは考えます。

わたしが思う大切なことは、ASDかもしれないと思うならば、または自分の子がそうかもしれないと思うのなら、少しでも早く診断をもらうことだと思います。診断をもらうということは

自分の問題点に早く気づくことができる

自分自身のままで、前に進んで行ける

わたしはこういうことだと思っています。自分の問題点に気づかないままだと、ASDだからこそ伸ばせる能力も伸ばせないまま、または長所を短所にしてしまうこともあります。

自分自身のことが分かれば、受け入れられれば、そして改善出来るところを少しでも見つけることができれば、いろんな方とのより良い関係性が広がる可能性も、能力を伸ばすことが出来る可能性も、出てくるのではないかと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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