ASDに起こる”白昼夢”とは
”白昼夢”とはどういった状態のことなのか
実はASD当事者であるわたしには、ずっとこの不思議な状態に悩まされていたにも関わらず
誰にでも起こることなんだろう
集中力が無い自分のせいだろう
こう思い続けてきました。それというのは
”白昼夢”という状態です
”白昼夢”とは
日中、目覚めている状態で、現実で起きているかのような空想や想像を夢のように映像として見る非現実的な体験、または、そのような非現実的な幻想にふけっている状態を表す言葉。このことを言います。
例えばそれは
- 目の前で上司が話していても
- 聞きたいと思っていたチャンネルやラジオを大き目の音量で聞いていても
- 自分が読みたいと思う本を読んでいる最中でも
- 学校で授業をうけていても
- セミナーを聞いている最中だとしても
この様な集中して聞かなければいけない場面でも、逆に自分が集中して取り組みたいと思っている時でも、白昼夢は起こります。
実際ASDのわたしがどういった状態になるのか
わたしの感覚ではありますが、白昼夢の状態に入ると
- 話を聞いていても瞬間で他の映像や言葉が頭に入ってくる
- 記憶が飛んだような感覚になる
- 周りの声は全く聞こえない状態になる
- まさに脳内が一瞬で、他の世界に飛んでしまうような感覚になる
こういう状態になります。もちろんこの”白昼夢”はASDに限ったことではありません。ADHDの方でも、または発達障害と診断されてない方にもある方はいますが、今回は、ASDのわたし自身が体験し、同じようにASDの方に”白昼夢”があるという事実から”ASDの白昼夢”としてお伝えしていきたいと思います。
”白昼夢”がもたらす問題とは
この現象は、注意欠陥・多動性障害のADHDに見られる、外からの刺激で注意がそらされるというものではなくて
完全に内的に生じる刺激が原因なのです
”白昼夢”がもたらす問題
実際、”白昼夢”が起こっている瞬間というのは
瞬間で浮かんできた、自分自身の映像や言葉に意識が持っていかれる為
あ、また聞き逃した…
大事なこと言ってた気がするけど、話が終わってしまった…
上司から何か言われたけど、全く記憶にない…
結果、こういった問題が起こってくるのです。
その相手が身内や親友などの関係性の中で起き、取り返しがつくような場合でしたら問題にはなりませんが、上司が、またはそこまで付き合いの深くない方との会話中に
すみませんがもう一度教えていただけませんか…
などと度々、聞き直していては
- 話を真剣に聞いていなかったのか
- 人が話している時に何を考えていたんだ
こう思われるのは当然です。その結果、信頼を失ってしまったり、または”どうして集中して聞いていなかったんだろう…”そうやって自分自身を責めては落ち込んでしまうような、残念な結末になってしまうのです。
ASDに起こりやすくなる”白昼夢”の場面とは
”白昼夢”は、いつ、どんな時に起こるのかは、はっきりとは言えません。ですのでここからはあくまでも、わたし自身の経験と、様々な書籍からの分析に由るものですので、その部分はご了承下さい。
気持ちを落ち着かせて物事に取り組むのが苦手
ASDには感覚過敏がある方がほとんどです。特に聴覚過敏・視覚過敏のある方が多いので、例えば
- 大勢の人が集まる場所(オフィスや学校の教室など)
- 物が多い場所や蛍光灯などの光がまぶしい場所
他の感覚過敏でもいろいろありますが、こういった状況では、気持ちを落ち着かせて話を聞いたり、物事に取り組むのは、とても困難なのです。周りがざわざわしている、または目に入ってくる情報が多すぎて集中できない、ということになります。
その他にも、興味関心に偏りがあるので、すぐに興味のあることに無意識的に気がそれてしまったりもします。ですので
気持ちが落ち着かない
内容に対する興味が薄れてきた
実際こういう場面では、ふわっと白昼夢状態に入ることは多くなることもあります。
何事に対してもゆっくりで几帳面
ASDは基本”ゆっくり”が好きです。ですので
- 早口で説明される・指示される
- 急ぎ気味で授業が、またはミーティングが進められてしまう
ゆっくりと几帳面に物事をこなしていきたいASDにとって、急がれてしまうと、それこそその瞬間に”白昼夢”が起こることがあるのです。
というのは、途中から話の内容についていけない状況に陥ると、頭が真っ白になり、自分の頭に浮かんだ映像や考えが入ってきてしまうのです。
”白昼夢”に襲われる時というのは、絶対にこういう時だとはもちろん言い切れませんが
- 感覚過敏を刺激されるような状況で集中できない時
- 話している相手のペースが早い時
この場面では多くなると言えると思います。
”白昼夢”が起こってしまった時の対策
”白昼夢”はASD自身が抑えようとして、抑えられるものではありません。ですので先ずは、この現象が実際にあると感じるASDの方は、自分自身でも自覚し、そして話せる相手には話しておくことをお勧めします。
その上で現実的な対策としては、例えば会議や打ち合わせなどの時には、許可を得たうえで
ボイスレコーダーのアプリなどを使って録音しておく
こういった方法で対応するということも出来ます。
そして逆にこの”白昼夢”を理解していただいた、ASDと関係している方にはどうか、理解したうえでの対応を取っていただきたいと思います。
最後に
わたし自身、ASDのことを学びだしてから驚くほど、子どもの頃からの、それこそ物心ついてからのわたしの不可思議な行動や言動が全て
点であったものが線として繋りだしました
線になった瞬間というものは、何か不思議と、あるがままの自分で生きていっていいんだと、そう言われているような感覚になりました。
今回の内容でもそうですが、まさか”白昼夢”という状態が起こるなんてことは、当時のわたしは想像もしていませんでしたし、自分はなんて劣っている人間なんだと思うばかりでした。
集中力がないわけでもなかったのか…相手の話を真剣に聞けないというわけでもなかったのか…それは”白昼夢”という状態だったのかと、気づかされただけでした。
でもその気づきが、どれほどわたしを救ってくれたことかわかりません。そしてその気づきによって、きっと同じように苦しんでいる人がどこかにいるはずだという思いにも駆られました。だからという訳ではありませんが、発達障害についての細かな情報を発信するのは、必要ではないかと思っています。
発達障害の方の中には、様々な能力を持っている方がいるのは間違いありません。ほんの少しの情報がなかったが為に、自分の可能性に目を伏せてきたのなら、これからは逆に、探求することを諦めないで欲しいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。
*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。
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