ASD 優れた空間認知能力と豊かな思考力

発達障害

ASDの優れた空間認知能力と豊かな思考力とは

ASDの優れた空間認知能力

ASDの空間認知能力とは

先ずは、空間認知能力についてです。

空間認知能力とは

「目に見えている部分」と「見えない部分」を結びつけて理解する能力
3次元の空間から、物の位置や形状・方向・大きさなどの状態や位置関係を素早く正確に認識する能力のことを言います

瞬時に判断ができる

わたしには、仕事をしだしてから”これだけは何故かいつもうまくいく”というものがありました。当時のわたしは、パティシエのお仕事をしていました。その時に、大きなボールや大きな鍋でいろいろ仕込んでいくのですが、その仕込み終わったものを移し替える時に

いくつかある容器の中から必ず量がぴったりと収まる容器を瞬間で選んでいました

溢れることもない

少なすぎることもない

全くもって寸分狂わない

ちょうどいい量が入る容器を選別していたのです。

言ってしまえばたったこれだけのことで、特に何か大きな役に立てたという訳ではないし、ただの自己満足の世界でしかないのですが笑、それでもたまには、その見分けが苦手な人から

「これが入る容器、選んで持ってきてくれる?。」

そう頼まれたりすることもありました。逆に、溢れさせてしまったり、明かに大きすぎる容器を選んでいる人を見ては

どうしてあの容器だと思うんだろう?あれじゃあ無理なのに…

そう不思議に思っていたほどです。実はこういった能力が

ASDにある”優れた空間認知能力”だとは知りませんでした

子どもたちに見られる空間認知能力

息子のパズル

実はASDにある”空間認知能力”に気づいたのは、わたし自身のことではなく、ASDの息子からでした。

息子が4歳になったころから、急にパズルに熱中するようになりました。最初は、iPadのパズルゲームのようなもので遊んでいたので、その時はよく見ていなかったんですが、実際、手でばらばらになったピースを完成させていくパズルを、息子がしていた時に気づいたのです。

一般的に、パズルの組み立て方、組み立てていく方法としては

パズルに描かれている絵の繋がりを想像して組み立てていく
この方法で完成させていく方が多いと思います。

ただ、息子がパズルを完成させていく工程を見ていたら

一つ一つのピースの形を見て、それがどの位置にあるのか

これをさっさと見つけては、ばらばらにピースを置いていき、完成させていました。そんな息子の様子を見て、どうしても気になって調べてみたところ

空間認知能力に並外れた能力を持つ子どもたちがいる

ここに辿り着きました。ただこのことについては、ASDと限定されたものではなく、自閉症について研究されていた方のものでしたので、はっきりと”ASDには…”とは言いきれませんが、実際、わたしの経験から、そして息子たちの行動から、少なからず空間認知能力に優れているASDはいるのではないかと思っています。

ASDの豊かな思考力

他人の意図を見抜く

ここからは、ASDは思考力が豊かだからこそ”他人の意図を見抜く”についてです。

これまでASDについて、よく耳にしたのがこれでした。

  • ASDは空気が読めない
  • ASDは人の気持ちがわからない

実はこの事実について、最近の研究ではその真逆

  • ASDは人の気持ちを読み過ぎる
  • ASDは空気を読み過ぎて身動きが取れなくなる

こういった事実があることが言われています。実際、このことを証明する記述としても

1980年代 アスペルガー症候群の研究で知られる”ハンス・アスペルガー博士”が、彼の患者さんたちに対しての記述から

「自分たちに好意をもってくれるのは誰であり、そうでないのは誰であるかをわかっている」
こう記しています。思考力が豊かだからこそ、他人の意図を見抜きすぎてしまうのがASDなのです。

実際、ASDであるわたしの子どもの頃を振り返ってみても、幼いころから周りの大人たちひとりひとりに対して

口ではそう言ってるけど、本当はこう思ってるんでしょ…

こう心を読んでは、そんな大人たちに合わせて立ち振る舞っていました。生意気にも、大人ってめんどくさいなぁ…そんなことも思っていたほどです。

豊かな思考力があるからこそ起こる問題点

わたしのような、子どもの頃から他人の意図を見抜いてしまうような子ども時代を送ると、問題も生じてきます。それが何かというと

自分自身の本心がどこにあるのかわからない

めんどくさいと感じてしまう大人達から、少しでも安心できる自分の居場所を確保しようとし過ぎてしまい気づけば本心ではないところで、ずっと話をしている状態になってしまうのです。

空気を読み過ぎるからこそ、意図を読み過ぎてしまうからこそ、ASD自身は自分を苦しめてしまう方向に向かっていってしまう時があるということなのです。

本心が分からなくなるということは、自分自身が分からない、何が好きで何が嫌いなのかもわからなくなる、自分のやってみたいことなんて何もない、こういったことにも繋がってしまいます。

いつも自分に問いかける、または相手から問いかけてもらう

今までの内容がもし、あてはまるような大人のASDの方であれば

常に自分の本心がどこにあるのかを、問いかけて見て欲しいと思います

実際わたし自身も、自分の好きも嫌いも、やってみたいことも何もわからずにきました。でも、そのままの状態では問題ばかり起きるし、人間関係においても辛いことが多いし…。これではダメだと気づいてからは

わたしの本心はどこにある?

こう問いかける癖をつけたのです。それからというもの、本心を表現する・伝える、ということの大切さに気付かされました。何がどう大切なのかと問われれば、それはひとりひとりが経験するもの、そうとしか答えられませんが、本心と向き合い表現する・伝えることの大切さを経験すれば、きっとわかると思います。

例えばそれが、自分では難しい場合、ご家族にやパートナーの方に伝えた上で、もし本心ではないところで話しているような感じが見て取れたときには、お相手の方から

「本当にそう思っているの?それは本心からなの?。」

そのように自分に問いかけて欲しいと、事前に伝えておくのはとても良い方法だと思います。なぜなら大人のASDの方にとっては、自分の力では気づきにくい時が多々あるからです。

それはASDの子ども達にも同じように、何か隠してそうだな…と感じれば

「本当はどう思ってるのか教えて?。」

そうやって親の方から、問いかけてあげて欲しいと思います。

ASDの子ども達は大人以上に思考力が豊かです。関心がないようなふりをしていても実は、大人の意図を見抜きすぎて、本心を言わないことが多いからです。

ASDの優れた空間認知能力にしても、豊かな思考力にしても、早いうちから着目していれば

何か熱中できる仕事に活かせたり

自分の得意分野を発見出来たりすることには

十分役立つものだと思っています。わたしの様に、大人になってからでは、実際難しいところもありますが、もし今回のような能力があるASDの子どもたちには、ぜひ活かしていって欲しいと思っています。

最後に

空間認知能力にしても、豊かな思考力にしても、ASDにはまだまだ未知の能力を隠し持っている方が多いのではないかと考えます。ですので、わたしはASDの方を

能力が高くて繊細なASD

こう思っています。能力があっても、繊細さから自分の持っているものを発揮できていなかったり、または、世の中のいろいろを感じ取り過ぎてしまい、疲れ切ってしまった挙句に、自分のことなんてどうでもよくなってしまったり。

ASDだから大物になれるとか、そういう事ではなくて、いろんなことを感じ取り過ぎてしまってもいい、それで辛くなっても仕方がない、でもその中から

自分の好きを見つけることを諦めずに楽しんで欲しい

そう思うのです。実はわたし自身、ASDと診断をもらった時に親友にこう話したことがありました。

「普通の方が生きやすいんだろうなぁ…。」

そう話すと、親友がこう答えました。

「何言ってんの?せっかくASDで生まれたのに、普通になるなんてもったいない!そのままが絶対いいよ!。」

ここで言う”普通”とは、ASDではなかったら、という意味で、決して他の方と比べて、という意味ではありません。

ただその時に、お世辞や社交辞令を一切言わない親友からの言葉でしたので、それは真っ直ぐわたしに刺さりました。そして今でもこの言葉は、わたしの生きる励みになっています。

この言葉をいただいてからもう数年経ちますが、逆に今は、わたしと同じASDの方に、またはASD傾向がある方に、この言葉を伝えていきながら、応援していきたいと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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