ASD 自分の失敗パターンに気づくことの重要性

発達障害

 

執着気質だからこそ“気づけない”

ASDの人達はマイペースさを優先し、安定した特に刺激のない一日を好みます。ある意味のんびりとして見える、そして優しく傷つきやすい繊細な人達だと言えます。実はこのような特性がある反面、これだと決めたことにはがむしゃらに進んでいくという、真逆だと思えるような一面も持ち合わせているのです。普段のASDからは想像しにくいような、この“がむしゃらに”というところは過集中状態になる時などもそうです。

それはASDにある“執着気質”がそうさせていて、そのことで人並み外れた努力と行動力を生み、思い込みの強さと妥協を知らない執着心で目標を実現させてしまうこともあります。

これだけ見れば、とても素晴らしいことだと思われるかもしれませんが、実は執着気質だからこそ見落としてしまう“気づけない”ところがあるのです。それというのは

アップダウンを生じやすい

というものです。実際のところ、わたし自身もASDにはアップダウンを生じやすいというところがあると気付かされるまで、これだと決めたことにはものすごくこだわり集中して取り組み、その結果ある程度の成果を出せたとしてもその直後には必ず、体調やメンタルヘルスに不調をきたし、それ以上に続けられないということの繰り返しでした。激しいアップダウンだからこそ、その落ち込み方も激しく、結果的に成果を出せたところは見えず、何事も中途半端にしか続けられないんだと自信をなくすばかりでした。

執着気質だからこそ、突き進む力が強くやりすぎていることに気づけない、そのことで自分自身のことも周りのことも見えなくなる。それは目標達成ということの他にも、自分の正義感に執着しすぎる場面でもそうです。正論を振りかざして持論を主張し対立を生む、などといったことも起こってしまったりします。慎重さを失うが故に気づいた時には周囲との摩擦が増えている、という状況を繰り返してしまう自分にどうにもならない程落ち込んでしまうのです。

失敗パターンから抜け出せないのはどうしてなのか

とにかくわたしは若い頃から、特に仕事に関してはアップダウンの繰り返しでその結果、職場を転々としてきました。新しい職場で頑張るぞと決めたからには、それこそがむしゃらに取り組みます。ただ、そのペースがいつの間にか完全に自分の許容範囲を超えていることに気づかず、最終的には体調を崩して辞めてしまいます。そういった同じようなことを何度も繰り返しているにも関わらず、当時のわたしはというと特に何も考ず

今の職場では体がもたない…

そう思うだけでした。体が動かないほど異常に疲れている、そのことが執着気質からくるアップダウンから生じているなんてことはこれっぽっちも気づくことはありませんでした。頑張ったけど続かなかった…そう自分が情けなくなるばかりでした。

わたしはどちらかというと職場では人に恵まれました。とても可愛がってくれる先輩、友達のように仲良くなれた同僚、そのようなありがたい出会いがあっても自らその場を去るしか選択できないことには、残念に思いながらもどうすればいいのかがわかりませんでした。辞める前に引き継ぎができていたとしても、その場に残される人たちにはどうしたって負担がかかります。そのことを嫌というほど理解していても、辞めるという一択しか思い浮かばなかったのです。このように、ASDのわたしが同じ失敗パターンを繰り返していたことの原因として考えられるのは

  • 失敗が自分の中にあると気づいていなかった
  • ASDの知識がなかった

というものがあったと感じています。自分を客観視することをせず、職場を変えればまた頑張れるだろうとそんな安易な考えしか持たず、自分自身と繋がることをしていなかったからこそ失敗パターンから抜け出せずにいたのです。

自分の失敗パターンに気づくことで変化していくものとは

いつもこうなってしまう、そのことは自分でもわかっている。ただそう思っていたとしても自分自身にも、そして周囲の人たちにも理解がないままだと、自ら対応策も取らないまま同じ状況を繰り返してしまいます。ASDにはその繰り返しでいつの間にか挑戦することが怖くなり、自分を押し殺したまま生きるという辛い選択を自らしてしまうこともあります。その上、例えば職場などで、相手に自分の苦手や出来ないことを上手く説明できないまま感情的になってしまっては、自分だけではなく関係している相手をも困らせてしまうということも起こります。それでは何も改善されないどころか、ASDである自分の強みや信念、能力も発揮できないままです。発揮できないどころか、否定されるだけの状況に置かれてしまうこともあります。そうならないためにも執着気質であること、そのことを自覚した上で自分を俯瞰し、失敗パターンにまずは気づくことなのです。

ここで少し、実際わたしがどのようにしてわたしにある失敗パターンに気づけたのか、ということを書いてみたいと思います。わたしが失敗パターンに気づけたのはASDについてのYouTubeを始めてから1年ほど経った頃、それこそ40代前半にしてやっとのことでした。ASDについての発信をやるぞと固く心に誓ったわたしは、またしてもがむしゃらに取り組みました。子育をしながらその隙間時間を全てYouTubeやブログのために時間を注ぎ込み、睡眠も取れているのか取れていないのかというくらいの状況でした。そんな毎日を続けるなかで、目に留めてくださる方も少しづつ増えてきました。ただ、気づけば息子たちのことは疎かになり、わたし自身の体調にもまた限界がきていたのです。過去のわたしと、またしても同じ失敗を繰り返したのです。疲弊し切っているわたしの姿を見兼ねた、ASDであるわたしを理解してくれているパートナーがその当時、わたしにこう助言をくれました。

「もっとペースを落とさないとダメだよ。そしてその落としたペースをずっと守った方がいい。」

パートナーからの一言で、わたしの失敗パターンはアップダウンを生じてしまうところだと、そのことをやっと自覚できたのです。今頑張って取り組んでいることを続けたいのなら、自分のペースを知り、その環境を作り守ることだったのです。ただ、気づけたといってもわたし一人では無理だったかもしれません。ASDに理解のある人が身近にいたからこそ、出来たことだと言えます。

頑張れるところと、頑張っても出来ないところを明確にし、その上で自分にできることを見つけること。そして、助けて欲しい時には理解ある人に相談できる自分になることで、失敗パターンに気づけることもあるとわかったのです

わたしは失敗パターンに気づけたことで、今でもこうしてASDについての発信を続けられています。このことは過去のわたしの中で一番の記録であって、それが今でも更新中です。ただ、失敗パターンに気づけないままだったとしたら、また志半ばで辞めていたと思います。

自分以外の人たちをどうにかしようとするのではなく、まずは自分にできることを探ってみることなのです。

そうすることで、ASDが純粋に持っている能力が生かされたり、周囲との関係性が穏やかになることもあると思います。そういった良い変化を経験できた時には、そのことをしっかりと記憶し、上手くいかないと感じたときには立ち止まり、思い出してみることです。

失敗を繰り返したとしても、その失敗があって気づけることもあります。本当にやりたいことが見つかったのであれば、そのことをやり続けるということが大切だと思っています。ASDの人達にとっては特にそのことで続けてきてよかったと、これまでに見たことのない自分だけにある生き方を発見できるとわたしは思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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