ASD 物の配置への独特なこだわり

発達障害

ASDは物の配置へのこだわりが独特

ASDにしか変わらない理由がある

ASDはとにかく日常にある様々な物事に、強いこだわりを持っています。その内容は、おなじASD同士であっても、それぞれ違うものですが”こだわる”というところに関しては、共通しています。

そのASDのこだわりというものは、ASD以外の人から見れば、内容が細か過ぎる上に、ASD自身にしかわからない理由のものばかりなので

どういった理由でこだわっているのか

ここをASDに直接聞いて、やっと理解できるものが実際とても多くあります。

こだわりの一つにある物の置き場所

今回は沢山あるASDのこだわりの中から

物の置き場所

ここに絞ってお伝えしていきます。その物というのは例えば

  • お花を活けている花瓶であったり
  • 写真であったり

このような、わかりやすい、部屋を飾るような物の置き場所もそうなのですが、ASDの”配置にこだわる物”これについては、軽く想像を超えてくると思います。

理由が独特すぎてわからない物の配置

理由が無いようでしっかりあります

ASDの物の配置へのこだわり、その独特さについて実際ASDであるわたしと、ASDの息子の例を挙げてみます。それはとにかく、日常の中に散りばめられているので、挙げだしたら切りがないほどあるのですが、先ずは一つの例をとり上げて、詳しく解説していきます。

ペンの置き場所

ボールペンやシャーペン、または油性ペンなど、筆記用具はペンケースを買ってきてきちんと入っています。そしてその筆箱を仕舞う場所にいれてあるのですが、数本のペンやシャーペンは、上の棚の中に入っていたりします。

それを発見したわたしのパートナーが、不思議がってこう言いました。

「こっちにもペンあるけど、これもペンケースに直したら?。」

パートナーからしたら”片付け忘れている”そう思った故の、ごもっともな意見です。ただ、そこにはわたしなりの理由があって、別々の場所に置いてあるのです。その理由というのが

「こっちのペンケースはお便り帳とか書く用でだからここ。上にある物は、それ以外の時に使うものだからそこ。」

この理由を聞いても、だからどうして場所が別々なのか、わからないと思いますが、これがASDにある”物の配置への独特なこだわり”なのです。自分では納得しきっています。ここでその他にも、少し例を挙げてみよと思います。

保冷バック

同じ形の、同じ大きさの保冷バックでも、中に入れるものがだいたい決まっていて

  • これはお弁当を入れるものだからこっち
  • これはおやつを入れるものだからこっち

またしても、場所がバラバラに直されていたりします。周りから見れば、同じ保冷バックなのに同じ場所に直されていないのが不思議だと思いますが、やはりそこにもASDなりの理由があるのです。

これもパートナーには不思議がられます笑。というのは

  • 粉薬は棚の上の引き出し
  • カプセル類は下の引き出しの中

薬は薬なのに、どうしてそうやって分けるのがわからないと言われますが、ASD的には”粉とカプセル”この理由で配置をわけていることに至極当たり前にこだわるので、逆に何も思わないのです。

そして同じく、ASDの息子の場合でもそうなのです。

マスク

小学校に通うのにマスクが必須になってから、お家でも息子用に数枚のマスクがいつも用意されているのですが、その置き場所です。やはりわたしと同じで、マスクがバラバラに置かれていたので、理由を聞いてみると

  • 水色のマスクはランドセルの上
  • しましま柄のマスクはランドセルの横

模様にこだわり、配置を変えていました。こういった事実からも

ASDの独特すぎる物の配置とは

一見すると、ただ片付けていないように見える配置・一貫性がない配置のようでも、ASDにとってはしっかりと理由とこだわりがあって配置している

こういう事なのです。

こだわって配置しているからこそ困ること

ASDにとって、バラバラに置かれているように見える配置でも、そのひとつひとつには理由とこだわりがあって配置されています。ただ、この独特な配置が原因で、困ったことも起るのです。それというのは

少しでも場所を変えられると、どこにあるのかが全く分からなくなる

独特であっても理由があって置いてあるその”こだわりの部分”は、やはりASD的に強いものです。強いからこそ、いつもの場所にあるべきものがなかった時、その瞬間、すごく動揺します。

こだわりが自分以外のところで変更されると平常心を失う

ASDがいつもの様に使おうとした時、こだわりで置いてあることを伝えていなければ、一か所に片付けられていたり、違う場所に直されていることも、もちろんあります。そういった時というのは

たとえそれが数十センチ離れたところにあったとしても見つけられません

あるべき場所はここだ、と強くインプットされているために、どんなに近くに置かれていたとしても、自分では必死で探したとしても

見つからない…

こういう事が起こるのです。実際わたし自身も、探しても探しても見つからない…疲れ果ててパートナーに聞いてみると

「ここにあるよ。」

いつも置いてあった場所から、ほんの30cmほど横に置かれていたという事がありました。

不思議な配置だと感じたら聞いてみてください

ASDと関係している方で

(どうしてこんな場所にこれがあるんだろう…?)

そう感じた時は、本人に聞いてみてください。納得できるような理由ではない時もあると思いますが、ASD的なこだわりがそこにはあると思います。

その理由とこだわりを理解していただいたら、そしてその場所に置いてあることが嫌でなかったら、そのまま置いておいてあげて欲しいと思います。

そしてASD側は、その配置はこだわりから来ているものだと自覚した上で、もし相手から”場所を変えて欲しい”そう頼まれた場合は、譲れるところは譲ることが大切だと考えます。少し時間はかかりますが、慣れれば大丈夫な配置になっていくこともあるからです。

こういったASD的な、物の配置へのこだわりは独特であるという事実を知らなければ、無駄ないざこざが出てくる可能性もあります。そういった時間をなるべく作り出さないように過ごせるヒントとして、知っておいていただければと思います。

最後に

わたしがASDと診断された時に受けた、WAIS-IV知能検査(ウェイス・フォー)の結果が出た時に、主治医から言われたのが

「ASDらしい、わかりやすい折れ線グラフだね(笑)。」

こう言われました。その時は先生の言っている意味がいまいちわかりませんでしたが、今はその”折れ線グラフ”の意味の深さがよくわかります。

ASDと診断されたという事は、折れ線の角度が緩やかで、全体的に平均的に出来る人ではないという事なんです。という事は、平均的に出来ないところもあるけれど

平均以上に出来るところもある

という事なのです。その部分を自覚するまでに、わたし自身、すごく時間がかかりました。ただその出来る部分というのがどこなのかを、未だ見つけられないではおりますが

わたしには何もない…

そういった自分からは少なからず抜け出せたと思っています。先生に言われた一言

「大丈夫、あなたなら得意なことで簡単に伸びていける。」

そう言われた時には、過去のいろいろが思い出され、泣きそうになる自分を必死でこらえたのを、今でも覚えています。

今回の内容の配置へのこだわりにしても、ASDだからこそ納得できるものだと、ひとつづつ解決していけるようになったことも、そのこと自体がおかしなことではなく、特性であるという理解で解決できるのも、無知であった自分から脱出できたからこそだと思います。

脱出した時というのは、目の前に一筋の光がすっと差し込んだような、そんな感覚になります。それはほんの小さな理解と、少しの知識から生まれるものだと思っています。わたしが伝えられれることで、その方にだけにある一筋の光のようなものを、一人の人にでも届けられたらと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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