ASD ”結婚”は最大の難関

発達障害

ASDにとって”結婚”は最大の難関?

そもそも”結婚したい”と思ったことがない

子供の頃は、特に女の子たちがよく結婚に関して話したりする中に、綺麗なウエディングドレスを着たい、素敵な人と○歳くらいまでには結婚したい、こういう話をわたしも一緒になって聞いていたことはありました。ただ、当時のわたしのことを思い返しても、結婚したい、ウエディングドレスを着たいなんてことは、思ったこともありませんでした。

ウエディングドレスを見て、綺麗だなとは思ったことはあります。ただ、そのドレスを着ている自分を想像して楽しんだりすることは、全く記憶にないほどです。この感覚はもちろん、大人になってからも変わらずありました。というのも当時からわたしには

結婚に対する憧れも、そもそも結婚したいという思いも、あまりはっきりとはなかったのです

子供の頃は漠然としていた、結婚願望がないという感覚には、大人になってその理由はかなりはっきりと、わたしの中に存在していました。それは、わたしがASDだと診断される、ASDを自覚する前からでもです。

大人になってからはっきりと感じていたその理由とは

わたしは結婚したいとは思っていなくても、もちろん好きになった方も、お付き合いをしたことがある方も、少ないですが何人かいました。ただ、いつもどの相手の方にも同じように誤解されてしまうことがあったのです。それというのは

  • 普通に一緒に楽しんでいても、ある程度の時間になれば、もうそろそろ帰りたいと言ってしまう
  • 突然、近くまで来てるから寄っていい?と言われても、頑なに断ってしまう

自分で言葉にしてみても、ここだけ聞かされれば、相手にとってショックだと受け取られてしまっても仕方がないと、当時の方にはほんとに申し訳なかったと思います。今ならその理由もしっかりと説明できますが、当時のわたしは今ほどはっきりと、どうして自分はこうなんだろう…と、わかっていなかったことも、誤解を招いた原因の一つだと思います。

そう伝えてしまっていたわたしにあった理由というのは、決して相手の方を嫌いだとか、嫌いまでいかなくてもそこまで好きではない人、というわけでもないのです。もちろんそこには、ASD的な要素がしっかりとあっただけなのです。それというのは

どうしても感覚過敏やその他、対人関係などで疲れた身体をリセットするために、一人の時間・空間が必要

どんなに好意を持った相手だとしても、急な予定変更(突然、連絡もなく会いにくるといったようなこと)には、対応仕切れない

というものだったのです。こういった、当時からなかなか理解されにくいASDの特性の延長線上に、結婚は無理だと思っていたわたしがいたのです。その上、もっとはっきりと感じていた理由の一つに

自分以外の誰かと一緒に生活をするということを考えただけで、そのことによろこびを感じるどころか、不安でしかなかったのです

どうしてASDにとって”結婚”が最大の難関なのか

わたしが唯一、一緒に暮らしていて大丈夫だったのは、生まれてからずっと一緒だった家族だけです。しかも、親元を離れてからは、子供の頃から一緒に住んでいた親とも、一緒に住むということすら無理になったわたしは、結婚というものを考えれば考えるほど、わたしには最大の難関だとしか考えられませんでした。その理由には結婚するということは

自分以外の誰かと一緒に暮らすということ、そこがどうしても難しい

そんなASD的な感覚が強くあったためです。この理由を、もう少し詳しくお伝えすると

  • 一人の空間、一人の時間は必須なのに、そこが崩されてしまうのではないか
  • マイペースな時間を過ごすことが出来なくなることを想像するだけで恐怖
  • 理解されにくい”こだわりの部分”を我慢したり、相手に合わせたりすることが自分には出来ないだろう
  • 他の誰かと一緒に居なくても、1人の時間を過ごすことで満足を得れていたから

というものがありました。ここまで揃いに揃ったガチガチのASD的理由から、わたしはずっと一人で生きていくしかないと思っていました。

”結婚”という最大の難関を超えれたのは

これまでに散々、結婚に関してASDのわたしは無理だとお伝えしてきましたが、実は今のパートナーと出会い、結婚してもう12年になります。そして、結婚できた理由というのも、今ではわかっています。その理由を挙げるとしたら

  • 結婚する直前までずっと長い間”なんでも話し合える友達”という関係性だった
  • 音楽など”感性の部分”で共感しあえたり、お互い楽しめる情報をずっと語り合える人だった
  • 興味のない内容には、あっさりと興味がないと言い合える、それくらいラフでありながらお互い不愉快にならない関係性だった
  • 穏やかでやさしく、感情的になることのない、ゆったりとした感じの人だった
  • 他の誰よりも尊敬できる人だった

今挙げたものは、わたし以外のASDの方にも、ずっと付き合っていけるパートナーのポイントとして見ておいてもいいのではないかと思っています。というのも、ASDはその時の感情に流されて、特に共感し合えることもない人、共通の話題で盛り上がれない人、尊敬できない人とは、長くいてもいつか時間の問題で、好きだという感情もなくなる上に、一緒にいることすら嫌になってしまうからです。

そしてもう一つ、大切なポイントがあるとすれば

相手がASDのこだわりの部分に理解を示し、受け入れられる人かどうか

ここも大きいと思っています。ASDにある”こだわり”は、そのものの内容が細かすぎて理解されないどころか、鬱陶しく思われたりすることもあります。その理由には、ほんの少し置き場所を変えられただけでも不機嫌になったりと、日常生活の中にたくさん散りばめられているからなのです。

ASDのこだわり一つ一つに対して、イライラしてしまう人は無理だと思っています。わたしのパートナーも結婚当初は、「どうして?何がダメなの?」という思いの連続だったと思います。ただ、そのことをいつも

笑ってやり過ごしてくれていました

そしてわたしがASDだと診断されてからは、「なるほど、ここはこだわりなんだね。」そうやって何事もなかったかのように、理解した上でわたしのこだわりに対応してくれました。

今でもパートナーと結婚できたのは、わたしにとって奇跡だと思っています。それくらい、わたしは自分自身に対して、難しい人だと自覚していましたし、こんなわたしと一緒にいれる人はいないだろうとも思っていたからです。

一緒に暮らすことが出来たのも、子供の頃に家族と住んでいたかのような、違和感を感じない人だったのも大きかったと思います。ちなみに、結婚式はしていません。「みんなの前に、あんなフリフリのドレスを着て出されるなんて絶対嫌。はずかしめ意外の何でもないから、絶対やりたくない。婚姻届だけで十分。」

そんなまるで男性の発言かと感じさせれらるようなことを、わたしが言っていたからです。ただ、パートナーはそのことにも、あっさりとOKをしてくれた人でした。女性のASDは男性っぽいと言われることがあるのも納得です。

ASDは女性でも男性でも、言葉で思いを伝えることが苦手です。それでも、結婚生活や、関係性が続いているのであれば、ASDは相手に対して

自分にとって唯一無二の存在だと、とても大切な人なんだと思っている方はいると思います

というのも、ASDは一緒にいて無理な人だと感じたら、案外あっさりと離れるからです。

今になって、ASDにとって結婚は最大の難関だと感じられていたのは、わたし自身も、そして周囲も、ASDの特性を知らずに、情報もないまま、一般的な視点で結婚というものを考えていたからかもしれないと思っています。

これからの時代は、すでに結婚されている方も、これから結婚を考えている方も、相手に、または自分にASD的な要素があるのであれば、そこを2人でしっかりと話し合うことで、より良い関係性、そして、2人だけに合った結婚生活を送っていける鍵になるのではないかと思っています。

最後に

今回は”結婚”ということについてでしたが、ASDの”恋愛”に関しても少しお話ししたいと思います。

大人になってからASDと診断された人、または、そうかもしれないと自覚している人の多くは、わたしもそうですが、”自己肯定感”ここが低い人が多いと思います。

自己肯定感が低く、そしてASD気質もあれば、恋愛ではとにかく同じ失敗を繰り返しやすかったりします。それがどうしてかというと

こんな自分でも好意を持ってくれているこの人は、きっと素敵な人に違いない…

そうやって、好意を持ってくれた相手よりも自分を低く見ては、自分の本心を見失い、自分勝手に作り上げた想像上での相手を、好きだと思い込んでしまうからです

優しい人はたくさんいます。ただ、その優しさは本物なのか、荷物を持ってくれる人が優しい人なのか、荷物を持ってあげるくらいなら、わたしでも出来ます。本当の優しさを持った人というのは

楽しい時だけ一緒にいてくれる人ではなく、自分が辛い時・苦しい時に寄り添ってくれる人です

そしてASDにとって、とても大切なのは

そのままのあなたでいられる人かどうか

だと思っています。素直な自分のままで一緒にいられる人、素直な自分のまま相手を受け入れられる、そういう人と出会い、恋愛や結婚が出来れば、長い人生をゆっくりと一緒に歩んで行けるのではないかと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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