ASDにとって朝は困難な時間帯
どうして朝がそこまで苦手なのか
思い返せば、子どもの頃から、そして会社勤めをしていた頃も、わたしには困難な時間帯というものがありました。それが
朝の時間帯
これです。もちろん朝の時間帯が苦手、という方はASDでなくてもたくさんいると思います。眠い、だるい、体を目覚めさせるのが大変、こう感じる方も少なくありません。
ただ、ASDが”朝を困難な時間帯と感じる”というものは、それとはかなり違ってきます。
ASDが困難な時間帯はもう一つある?
実はASDにとって、朝の時間帯の他にもう一つ、困難と感じる時間帯というものがあります。厳密に言うと、朝の時間帯ほどではないのですが、それでもかなり苦痛に感じる時間帯です。それがどの時間帯かと言うと
就寝前の時間帯
さあそろそろ寝ようかな…そしてベッド、または布団に入り、眠りにつくまでの時間帯のことです。
困難と感じてしまう環境がある
もちろんASDであっても、朝や就寝前の時間帯に、そこまで困難を感じることがない場合もあります。というのは
困難を感じてしまう環境にいるのかいないのか
この”環境”の部分が大きく関係しているのです。先ずそれがどういった環境なのかを挙げてみます。
ストレスを抱える環境にいる
ストレスを抱える場所に毎日行かなくてはいけない
例えば、楽しいと感じられない学校や、自分に合っていない職場に毎日通わないといけない、家にいたとしても、親子間や夫婦間がぎくしゃくしている、こういった毎日の中で過ごしている場合です。
そのストレスとは、とてつもなく大きなストレスというものではなく、少しのストレスでもです。
学校でいじめられているわけでもない、それ程やりたい仕事ではないけれど、職場ではなんとかやり過ごしている、それでもあまり行きたくない…この程度のものでも、困難な時間帯になってしまう原因の一つになるのです。
ASDが感じる困難とはどういうものなのか
ではここからは、こういった環境にいるASDにとって
- 朝を困難な時間帯と感じる
- 就寝前にも少なからず苦痛を感じてしまう
とは、実際どういった感じなのかについてです。
眠い、だるいだけではない症状がある
毎日通う学校や職場、または家庭に若干でもストレスがあると、眠い、だるい、というような一般的に朝が辛いと言われている症状の他に、ASDの朝はどういうものになってしまうのかというと
これから過ごすであろう先の苦しみを鮮明に予想しては、逃れたい気持ちで押しつぶされる
ここまでの感情になるのです。ですので逆に、過ごしやすい時間帯があるとすれば、学校や仕事が終わった後、夜のリラックスできる時間帯などが、一番元気に過ごせたりするのです。
だったらどうして就寝前に苦痛を感じるのか
学校や仕事が終わって、ASDにとってやっと安心できる時間帯なのに、同じ夜の時間帯なのに、就寝前にまた苦痛を感じてしまうのはどうしてなのか、と思われると思います。ここにはASDの繊細な部分が浮き彫りになります。それは
もうすぐまた明日になってしまう…
この不安が生まれるのです。もともとASDには
- 不安が強い
- 不安を感じやすい
こういった特性がある為、解放された時間帯からまた、ストレスを抱える時間帯が…明日がやってくる、こういった感情が無意識的に生まれてしまうのです。
ASD当事者の実例
ここで少し、ASDであるわたしの朝の時間帯がどういったものだったのか、これを例に挙げてみようと思います。特に酷かったのは、子ども時代でした。学校が嫌だったわたしは、とにかく毎朝
- なかなか起きれない
- 何もなくてもしくしくと泣き続ける
- 朝ごはんは一口程度しか喉を通らない
- なんとかして休みたい
こういった状況が、そして感情が、休日以外は何年も続いていました。学校にいる自分を鮮明に想像しては苦しみました。
そして大人になり、仕事についてからも、それこそ毎朝、子どもの頃と同じように、
職場の空気、雰囲気、その場いる自分を想像し、軽い鬱状態のまま、職場に向かっていました…
体調がさほど悪くないにしても、行ったら行ったでなんとかやり過ごせたとしても、それでも朝の時間帯は、困難以外の何ものでもありませんでした。それは就寝前もそうでした。
改善できる方法があるとすれば
これまでに挙げたことを経験したことがあるASDにとって、またはこのような様子が見えるASDの子どもたちにとって、ASDが困難だと感じさせられる環境にいる限り
- ずっと朝や就寝前の時間帯に苦痛を感じ続けなければならないのか
- そんな残念な毎日から抜け出せる方法はないのか
そう思われると思います。ここからは、根本的な改善策とまではいきませんが、少しでも和らげられる方法をお伝えしたいと思います。
朝はたっぷりと余裕を持った時間を過ごす
ASDが困難だと感じる部分というのは、眠いやだるい、といった体調の面ではなく
感情などの心・精神の面なのです
ということは、このASDの心・精神面に働きかける行動が、必要となってくのです
時短でバタバタと朝の時間を過ごしてしまっては
無理をしている感情に強制的に蓋をして、ストレスのある状態で、ストレスのある場所に向かわないといけない
ということになってしまいます。これでは、毎日、毎朝の困難さからは逃れられません。
ということは
実際この方法は、わたし自身も実践してきました。その結果、バタバタと過ごしていた時よりも、逆に少し時間が余ってしまうような、そんな朝を迎えるようになってからは、朝の時間帯の困難さも和らぐようになりました。
朝に起こる、不安や逃れたい気持ちが全く無くなるわけではありませんが、逆にその時に起こる自分の不安と向き合う時間を持つことで、気持ちが落ち着いてきて
さ…そろそろ行こうか
という気持ちになるのです。不安だと思ってもいい、逃げ出したいと思ってもいい、そんな自分を責めないであげる時間というものが必要ということなのです。
最後に
ASD当事者は、特に診断されたのが大人になってからのASD、もしくは自分でも気づいていない大人のASD傾向の方がやってしまいがちなのが
自分自身に向き合うことをする前に、その他大勢の情報や常識に合わせようと努力してしまう
こういった方が多いと思います。もちろんわたしも、その中の一人でした。その背景には、子どもの頃からの不自由な日々、そして常に、普通や標準といった基準に合わせた評価をされ続けてきた歴史があるからなのです。
自分の能力を押し殺し、自己肯定感は低く、そして理解されることもない…そうやって生きることすら諦めたくなる日々を経験してきた方は多いと思います。ただ
それはあなたのせいでしょうか
あなた自身が生まれながらにそうなのでしょうか
違うと思います。
自分自身を知ることを諦めないでいることが、何より大切なのです。その上で人と、そして社会と、もう一度自分のままで関わってみることが大切だと思っています。
今回の内容の様に、先ずは日々のほんの些細な行動から、ストレスを解放していくことをすることも一歩です。こういう小さな、本当の自分と向き合った時間を過ごしていくことが、自分の自信に繋がり、自分軸で生きれる方向に、あなたが変えていけるのです。
わたしはASD当事者です、だからこそという表現はおかしいかもしれませんが、同じ特性をもったASDの方をずっと、応援し続けたいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。
*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。
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