ASD ”優れた長期記憶”と”苦手な短期記憶”

発達障害

ASDは長期記憶には優れているのに短期記憶が苦手

過去の記憶は鮮明に残り、今の記憶は無くなっていく

ASDのわたしには、過去に自分がよくわからないという場面がありました。それというのは

過去のことを聞かれれば詳しく話せるのに、今聞いたことは思い出せない

いったい自分は記憶力が良いのか悪いのかどっちなんだろう…そうやってわからなくなることがありました。

否、どちらかと言うと、もともと自己肯定感の低かったわたしは、わたしには記憶力は全くない、と思って生きてきたという方が本当のところだと言えます。それというのは、今起きていることをこれまでに、何度も忘れてしまうという経験が積み重なったからこそ、記憶力に関しての自信を無くしてきたんだと思います。

短期記憶が苦手とはどういうものか

順を追って消えていく

ASDにとっての”短期記憶が苦手”とはどういうものなのか。それはだいたい数で表すと

3(3つの覚えないといけないことがある)+1(さらに1つ付け加えられる)

ここでは4つ覚えることになりますが、わたしの場合だと-1の3つが限界です。というのは

3つのことを覚えている時に、もう一つ覚えないといけないことが足されてしまうと、一番初めに覚えたものが消えていく…と言った感じなのです。

こういう状況になると

○○○+○=●○○○

この図のように、初めに覚えたものが順を追って、後ろからフェイドアウトしていくように記憶から消えていくのです。

ASDの息子にも同じ現象が見られる

わたしの息子はASDの診断を受けていますが、やはり同じような事が見られました。というのは、過去にあったことは、それが数年前であっても、その時のひとりひとり、何を発言したかまで鮮明に覚えているのに、今やることは、数が増えるほど、全く聞いていなかったかのように忘れていくのです。

短期記憶が苦手というのは実際どういうものなのか

ASDであるわたしの日常から

わたしの短期記憶の苦手さは、日常的にあります。例えば息子たちにDVDを借りてきて欲しいと頼まれ、その内容が

「ポニョとカーズとウルトラマンね!。」

この3つの時は、覚えていられます。ただそこに

「あ、ドラえもんもね!。」

4つ目が追加されてしまうと、DVDのお店の前でそのことを聞いたにも関わらず、わたしが借りてきたのは

カーズとウルトラマンとドラえもんだけ…

初めに聞いた”ポニョ”のDVDは完全に記憶から無くなっていて、息子に怒られてしまいました。このことはもちろんお買い物の時でもそうですし、何か大事な約束事だとしても、次々と覚えないといけないことが入ってきてしまうとフェイドアウトしていく為に

しまった…すっかり忘れていた…

ということは常にあり、またやってしまったと思ったことは何度もありました。

長期記憶が優れているとはどういうものなのか

全てが鮮明に、映画のように記憶している

では逆に、長期記憶が優れているとはどういうことなのか、というとそれは

数年前、数十年前のことだったとしても、その時の場面ははっきりと目の前に、まるで映画の様に映し出され、その時に誰が何を言っていたかを、どんな時でも再現できる

こういう感じです。実際、そこまでよく覚えているね、と言われることありました。ただ、ASDのわたしにとっては、こういう記憶の仕方は、子どもの頃から普通にあるものだったので、他のみんなもそうだと思っていました。

短期記憶の苦手さを改善する方法とは

付箋とスマホのメモアプリをフル活用

ASDにとって、優れている長期記憶で困ることはほぼありません。あるとしたら

嫌な記憶まで鮮明に覚えてしまっていて、その記憶のせいで自分自身を苦しめてしまう

というところですが、今回は”苦手さ”というところから、短期記憶についての改善方法をお伝えしていきたいと思います。

もちろん全てのASDやASD傾向のある方にとっての、万能な改善策とは言い切れませんが、自分には参考になりそうだな、と思っていただける方法でしたら、使ってみていただければと思います。

この方法は実際、わたしが日常的に行っているもので、短期記憶の苦手さをかなり改善できたものです。それというのは

  • 付箋を常備しておく
  • スマホのメモアプリは最初に見る画面に置いておく

これだけです。というのは

自分の努力や気合で覚えようとするのではなく、手段を使うのです

形にして残しておく癖をつける

ASDにとっては初めて取り組むことに対して(ルーティンから外れるので)、慣れるまでは多少、抵抗があったり面倒な作業かもしれませんが、慣れてしまえば短期記憶の苦手さから脱出できたような、これがあれば何とか大丈夫、そういう安心感が生まれる時も出てくると思います。

ASDというのは”一度にたくさんの刺激に対しては対応できない”ということを先ずは自覚し、そのことに対して対策を取るということ、そして自分自身を助けてあげるという感覚で実践していくことが、大切だと思っています。

最後に

ASDであるわたしの経験から、ASDにとって長期記憶が優れているということに目を向けられるよりも

今、言ったことを覚えていないのはどうしてなの?

そうやって、短期記憶の苦手さの方に目を向けられることの方が多かったと思います。もちろんわたし以外のASDの方にしても

「やる気がないんじゃないの?。」

「ちゃんと話、聞いてた?。」

「聞く気がないんじゃない?。」

そう言われてきたASDの方が実際いるということも知りました。

今回の”優れた長期記憶と苦手な短期記憶”について、わたしの経験とASDの息子の様子、そしていろいろと学ぶ中で、伝えたいことがあるとすればそれは、短期記憶が苦手というのは

意欲や態度の問題ではないということです

覚えようとする意欲はあるのです。聞く姿勢や態度も、しっかりと真面目なのです。それでも忘れてしまうということがあるということなのです。

今までこの事実を知らなかったが故に、辛い思いをしてきたASDの方、そしてそんなASDにイライラしてしまっていた方、その両者にとって少しでも理解が生まれ、お互いにとって尊重し合える関係性が築けるようになれればと、非力ながらもそう願っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*わたしが書いている内容は、ASD当事者であるわたし自身の経験が基です。発達障害は一人一人、特性は同じではありません。ですので、全てのASDやADHDの方にそうだとは言い切れませんので、その部分はご了承下さいませ。

*画像はhttps://unsplash.com/というFree素材を使用しています。

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